大平の天井巣板 内曇砥 からすになります。

一般的な内曇砥よりも少しだけ硬い砥石でございます。
大平の高雄側坑道から採掘されたものであり、写真のように確実に鋼を降ろし、力強く研いでも全く地を引くことがございません。
また、途轍もなく気持ちの良い研ぎ感でありました。おそらく内曇砥の中でも、より雲母配列に優れた物であり、大変粘りのある研ぎができる石でございます。

そこまで硬さのある砥石ではないのですが、本当によく鋼を降ろし、刃を鏡面まで仕上げてくれます。
高い研磨力を持ちながら、刃が整うにつれて砥石と合わさり粘り着いていく感じがしました。
硬さと研磨力と粒度が比例しないことが、高雄系の巣板では偶に起こりますが、この内曇砥もそれに該当する砥石でございます。

大平は江戸時代１８１６年から採掘されており、代々一族で鉱山の品質を徹底して管理している稀有な山でございます。
場所は高雄と亀岡の間に位置していて、大平山の東坑道から採掘される砥石は、高雄の砥石が持つ偏光性や模様の透過性、高い研磨力を兼ね備えています。 その上に丹波の砥石が持つ安定した均一な性能を備え、肥えた原石で内曇砥や蓮華巣板など採掘されることが多かったとされています。
大平山の西坑道は亀岡側に位置し、採掘された石に見分けは付きにくいですが丹波砥石の特徴が強く、同じ大平山ですが西坑道から採掘されたものは水木原と呼ばれていました。
現在流通している大平の天然砥石は、水木原と混ざっている事が多く、大平と保証できる砥石を扱っている店は限られています。

この機会にぜひお求めくださいませ。